私と家族の物語

自分史活用アドバイザーが描く家族史プロジェクト

質問でホスピタリティマインドが育った!

100人と書く一枚の自分史プロジェクト

 

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2013年4月18日

その日のFBの投稿をアーカイブで見ると

大阪で観光業界各社からの新入社員の集合研修。
そのために向っています。が…(~_~;)
阪和線の50分遅延で焦っています!30分余裕を見て出ていますが、ダメかも!
時間管理を伝える立場なのに…!
もう着きます!これから走ります!では!
 
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そんな投稿をしていました。
 
その日の研修場所は、阪急梅田の繁華街の中にありました。
何とか時間には間に合いますが、人ごみを分けて必死で走る研修講師63歳の姿が目に浮かびます。
 
その日のプログラムは、接遇訓練「言葉遣い」。
クライアントさんからのご要望は訓練を通じて「ホスピタリティマインド」を育てるでした。
 
どうしたらホスピタリティマインドが育つのだろうか?
そのためにはどんな質問をしたらいいだろうか?
 
魔法の質問というコーチングを紹介してくれた先輩のお薦めの質問が
「目の前の人を幸せにするためにどんなことができますか?」
だったのです。
 
そして案じた一計です。
まず、それぞれのゴールを設定してもらった後は
はじめて隣り合わせた同士でこの質問に答えて伝え合ってもらいました。
「笑顔で接する」「積極的に話しかける」「話を聴く」
「飴をあげる」など・・・
 
そして
「この質問はみなさんのホスピタリティをあげるための質問です」
「今日の最後の時間を使って、どれだけ育ったかをテストしますね」
「この質問を意識して一日、研修に取り組んでくださいね」
とお伝えしておきました。
 
発声練習から始まって接客用語や敬語の課題に取り組みながら
リッツカールトンの素晴らしい接客モデルなども交えて進めました。
 
最後は「ホスピタリティが育っているか」を確かめるための課題です。
「みなさんはホテルマンです。フロント業務をしていると、数人のまだ幼い子供さんたちがキャッキャと走り回っています。他のお客さんはちょっと迷惑そうです。お母さんたちはロビィにいて、談笑なさっています」
「さて、2人1組で役割を分担して、どう対処するか考えて、それぞれのところに、学んだ言葉遣いに留意して話をしに行ってください」
「相談ができたら、前に出てきてそれぞれに演技をしてください」
「あ!お母さんたちは、いつも子育てで大変!今日は非日常を楽しんでおられますよ」と釘を一本、忘れずに刺しておきました。
 
30人の研修生だったので、15組です。さてどうなったか・・・。
 
たった一組も「他の方のご迷惑になりますので、静かにしてください」はなかったのです。
それぞれに、絵本コーナーや親子コーナーだったりを設けて案内したり、快適に過ごしてもらう工夫していました。
 
なかでも圧巻が、27歳の男性でした。
「子どもたちの前に思いっきり笑って大きく腕を広げて立ちます。そうしたら、必ず子どもたちはこの腕の中に飛び込んできます」
 一体、彼の前職は何なんだろうか?このゆるぎない自信はどこから来るのだろう。
「僕は、いつも子供たちが喜ぶシールを持っています」
 ほう、今なら鬼滅の刃ですね・・・
「みんな、このシール欲しいかな?静かにできたらこのシールをあげようと思うんだけど、一度お母さんに聞いてきてもらえるかな?」
 なるほど、そう来るのか・・・。アイデアだなと思いました。
 
それにしても、質問を介して、ホスピタリティの心が見事に育っていました。
感動しました。これはまさに魔法の質問だ!と心を打ち抜かれていました。
 
その秋には、これはどうしても質問のチカラを極めたいと思い、「魔法の質問認定講座」を受けるために山形にいました。
 
そして、質問によって、私の人生は変わりました。
それまではどこか不安とおそれを抱いていたあの頃とは違う
おそれからではなく愛からの選択ができる自分がいます。
 
研修会場のビルの下にはオープンカフェがありました。
時々、コーヒーの香りが漂ってくる。
繁華街のざわめきや、車が舞い上げる風を思い出します。
私は、27歳の彼やあの時の研修生たちとの出会いから
人生を変えてもらっていました。
「ツナグ」ことをミッションとしている。今に繋がっていました。
 
あれから、大阪はインバウンドに沸き、たくさんの観光客を集めることになりました。
活況の中を観光業界で生きる彼らはどうしていたのでしょうか?
そして、手のひらを返すような、コロナ下の試練をどう生きているのでしょうか。
あのホスピタリティの塊だった彼らが活躍できるそんな日が早く訪れるように祈らずにはおれません。
 
こんな中でも、今できることはあります。やっていこうと思うばかりです。