私と家族の物語

自分史活用アドバイザーが描く家族史プロジェクト

ずっと人生最大の汚点だと感じていたから・・・

「ねぎらいの自分史」のための質問をしながら
自分史の一幕を書いてみました。

Q. その出来事(体験)はいつ(何歳?〇〇校〇年生?)どこで起こったことですか?

 その出来事は高校3年生の2学期に起きました。
クラスメートたちから、呼び出されたのが
キーマンになる男子の家でした。

Q. どんな時代でどんなことが起こっていましたか?その頃、どんな自分だったのか?

夏休みも終わり、その頃の高校生にとって
青春の一大イベントだった体育祭も終わり
本格的に受験勉強一色に染まる直前のことでした。

すでに受験勉強に集中している人たちのほうが
むしろ多かったかもしれません。

なかなか集中できない。
そんな中、やっと受験勉強に本腰を入れたばかりでした。

Q. どんな出来事(体験)でしたか?

耳を覆うような言葉を浴びせられていました。
言葉のリンチでした。集団リンチ・・・。

そこにいたのは誰だか覚えていない。
同じ顔をした人たちばかり
誰がそこにいるの・・・
わからない・・・。

なぜ?あなたがここにいるのかわからない。

耐え切れず、途中で逃げ出して・・・
下町を流れる汚れた川まで来て
逃げ続けても
それらの言葉は追いかけてくる。

橋に夕陽が落ちていく。
こんな川では死ねやしない・・・。

実は、当時のことをあまり覚えていないのです。
ただ、胸が苦しかった。

墜ちた夕陽のディテールだけが、今も目の裏に貼り付いています。

 Q. それが起きた原因やきっかけは何ですか?

頭が切れるリーダーとも見えるが、私にはガキ大将にしか見えない。
そんなクラスでも目立っていた男子がいました。
いいことも悪いことも周りの数人を巻き込んでやっていました。

硬派を自認する受験校で3年生ともなると
上位大学を狙う連中は
もう彼のようなふるまいはしていないというのに・・・
巻き込まれて、よくバカをやったものでした。

女子数人から理不尽な集団つるし上げにあったとき
仲裁に入ったのが彼でした。

頭をよぎることがありましたが・・・
そんな状況でもいい子でいたかった。

傲慢な女と思われたくなかった。

そして
誰よりもそのことに彼が気が付いていなかったことが
ますます事を複雑にして行った。

誰かが際立つために、誰かがはみ出される。
出る杭は打たれる。

主犯はクラスの人気者だった女子
彼女の心に巣喰っているものの正体が見える。

何故か、人の心が見える。
他の人には見えない顔が見えてしまう。

そういう自分を嫌悪してしまう。
鈍感で集団心理の罠に気が付かない。
そんな私が起こしたことかもしれません。

Q. どんな障害がありましたか?どう感じていましたか?

すべては自分の奢りから始まったんだという思い込み
私は誰からも愛される存在ではない
自己否定が始まる。

何故、あの人があの中に、あちら側にいるの?
心の友なんていない。
人はみな孤独なんだ・・・。

そのことがトラウマになって
人に対して臆病になった。

怒りを鎮めようとすると哀しみになって
自己否定と自己不全感のループに陥っていきました。

Q.障害をクリアしたエピソードは何ですか?どんな助けがありましたか?

そんなときも地獄に仏はいたのです。

自己不全感から死を考えてしまう。
孤独感と死の誘惑から逃れるためにひたすら勉強をしました。

そんな出来事はなかったことにして
なにもなかったように振舞いました。

私、傷ついていませんから!

なにくそと思って勉強していました。
受験勉強を辛いと思うことは全くなくなりました。
むしろ、そこに没頭することが楽しかった。

クラスで孤立した私の傍にいたのはいつも彼でした。
そのことが迷惑でした。
それでますます事は悪化したのですから。

彼の成績はどんな時も上位でした。

どちらかというと劣等生の私が
死に物狂いで勉強し始めて
一部の教科は追いついていました。

きっかけは忘れたけれど
試験の点で負けたらデートするという賭けをさせられます。

全教科では全く歯が立たない。
得意な日本史と国語で賭けをすることになります。

結果は学年順位で日本史10位、国語が2位!
勝った!
と思ったら・・・

彼は5位、1位だった。
なんと、これまでで一番勉強したらしい。

結果、なけなしのお小遣いをはたいて
観たくもない映画を観ることになりました。

文学に早熟だった彼からは大きな影響を受けました。
受験勉強の合間に文学論を真似事のようにたたかわせました。

またまた周りから冷ややかに見られていたことでしょうが
そこは二人の世界でした。

大学は国文学を目指していたので
おかげで合格したようなものでした。

本人は解っていないけれど・・・。

そして、志望した道を歩むことができました。
結果はオーライでした。

 Q.周りにどんな影響を及ぼしましたか?

何もないような顔をしてやり過ごした。
やるべきことに集中する姿を見て、謝罪をしてくれた人もいた。

卒業するころ、
私の心の中以外はなにもなかったかのようになっていました。
本当は
もっと向き合った方が、お互いの為だったと・・・
今は理解しています。

Q. そこからのギフト(学んだこと)は何ですか?

そこからのギフトは、思春期にあって心の痛みとの付き合い方を知ったことでした。
メンタルは少し強くなったかもしれません!

Q. そのことを思い出すとどんな気持ちになりますか?

ずいぶん長い間、思い出せない、思い出したくない状態でした。
ずっと人生最大の汚点だと思って蓋をしていました。

そのせいで、手を差し伸べてくれた人さえ
いなかったことにしてしまいました。

ただ、ただ、ごめんなさい。

やっと謝ることができました。

別々の大学に進学して目の前にいなくなると
何もかもないことにしたくて
彼の存在もなかったことにしました。

今から思えば最大のギフトだったのに
気が付くのは数十年後でした。

人の心理を学んだ今は
自分も傷ついていたけれど
クラスメートたちも傷ついていたことに気が付きます。

そして、大切な人だった人も傷付けたことに愕然とします。

気付くのに膨大な時間がかかりました。

今は謝罪すらできない。
遠いところに行ってしまいました。

Q. 今の自分とどうつながっていますか?

そこにある心の痛みをないことにすると
違うところに出てしまうということを体感したことが

のちにカウンセラーとしての大きな資産となりました。

Q.誰にどんな感謝がありますか?どんな意味があると思いますか?

 あの頃は自分のプライドが一番大切だったのだろうと今は思います。
守りたかったのはプライド!だったって今さら気付く。
そして、甘えたかったんだなって思う。

今は亡き旧い友が
何が大切なのかを教えてくれる。
この世での愛の学校で
もっと学べと教えてくれています。

ありがとうね~。

あ~!やっと、一つ罪悪感から解放されています。
もう少し、後始末してから、そちらに行きますね。
そのとき、謝らせてね。
そして赦してね。

最近はよく本を読んでいるよ!
そうだ!最近の文学の話をしてあげるね・・・。

 

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